ポイント2:激坂フィニッシュ

アタック合戦も終了し、ようやく7~8名ほどの逃げが確定し、集団は落ち着きを取り戻すことだろう。彼らが最後まで逃げ切ることができるか、あるいは結局は捕まってしまうのか、それはわからない。

だが、いずれにせよ、総合優勝を狙う選手たち抱えるチームたちの間では、この日のフィニッシュ地点に待ち構える「激坂」に向けて、ピリピリとした緊張感が高まっていくことだろう。

この日のラストに待ち受けるのは、最大勾配13%を含み、ラスト700mほどの平均勾配は10%近くに達するであろうと見込まれる「激坂」である。

とにかく厳しい登りが最後の数百メートルに待ち構えているわけだが、こういった登りは、短時間の爆発的な登坂力を発揮することのできる「パンチャー」タイプの選手たちに有利である。

激坂での注目選手を抑えよう!

今大会出場するパンチャーたちの中では、過去のジロ・デ・イタリアでも勝利している2人のイタリア人、すなわちディエゴ・ウリッシ(UAEチーム・エミレーツ)とジャンルカ・ブランビッラ(トレック・セガフレード)に注目しておきたい。

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2017年のツアー・オブ・ターキー第4ステージでも、ラストの急勾配でライバルを突き放したウリッシ

ただし、この日は総合優勝を狙う選手たちにとっても、油断できない1日でもある。

短い登りではあるが、展開によっては数秒から十数秒のタイム差がつく可能性もあり、さらに逃げ集団も捕まえている場合は、1位~3位に与えられる10秒、6秒、4秒の「ボーナスタイム」もばかにならない。

結果としてのこの20秒~30秒というタイム差が、最終的な総合優勝争いに響く可能性は十分にあるのだ。

よって、先のウリッシなども、チームのエースであるファビオ・アルのためのアシストに回る可能性もある。そうして、総合優勝狙いの選手たちを巻き込んだ、熱い激坂バトルが展開されることもあり、この日のラストも決して目が離すことはできないだろう。

Text:Tamaki Suzu

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