「チーム・スカイ」対策−トム・デュムランの場合
まず、最大の対抗馬であるトム・デュムランは、これに対して自らのペースで坦々と登る走りで対抗するはずだ。
昨年ジロの第14ステージでも、最強と思われたナイロ・キンタナの爆発的なアタックに対し、デュムランは自らのペースを崩すことなくゆっくりと追いかけ続け、やがてこれに追い付き、最後は追い抜いていった。過去にも、ブエルタ・ア・エスパーニャで、クリス・フルームに背後から追いつき、勝利を奪った経験もしている。
【2017年ジロ・デ・イタリア 第14ステージ ラスト3分】
「チーム・スカイ」対策−トム・デュムラン以外の場合
トム・デュムラン以外のライバル、たとえばアスタナ・プロチームのミゲルアンヘル・ロペスや、UAEチーム・エミレーツのファビオ・アルに関しては、「先手必勝」の早めのアタックを仕掛けてくる可能性がある。
ここまで好調のチーム「アスタナ」は有力
とくにロペスの属するアスタナは、今年ここまでかなり調子が良い。
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ミゲルアンヘル・ロペス
今回出場を予定しているメンバーの中には、ロペス以外にも、タネル・カンゲルトやルイスレオン・サンチェスなど、十分にエースを張れる実力をもったベテランが多数控えている。彼らとのコンビネーションを活かしたアタックの連続で、チーム・スカイのペースを乱し、有利な展開にもっていくことが、このチームならば十分に可能だろう。
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ツアー・オブ・ジ・アルプス第2ステージで勝利するロペス
「最強」スカイが必勝パターンに持ち込むか、それともライバルたちがこれを突き崩すか。今大会最初の優勝候補たちによる激戦がこの日、繰り広げられることとなる。
予想を裏切られることも、また楽しい!
ここまでパート1〜3にかけて、序盤ステージの簡単な展開予想と観戦ポイントを紹介してきた。
もちろん、ここまでの展開はあくまでも予想であり、実際にその通りになる可能性は決して高くない。
しかし、過去の例をもとにある程度イメージして観戦に臨むことで、見るべきポイントなどを意識することはできるのではないだろうか。
そして、予想と違う展開になることも、大きな楽しみのひとつだ。だからこそロードレースでは毎年大きなドラマが生まれている。
ポイントを抑えておけば、選手たちがどんな風に予想を裏切ってくれたのかもわかりやすくなり楽しめることと思う。実際のレースでの、選手たちの「渾身の裏切り」も今から楽しみで仕方がない。
Text:Tamaki Suzu