トム・デュムランの闘い/ジロ・デ・イタリア3週目レビュー

デュムランの誤算

そして山頂まで7kmの地点で、「王者」フルームがついに飛び出した。

エリッソンドの牽引によりライバルたちに追随する隙を与えないまま、フルームはたった一人でフィネストーレ頂上への登坂を開始した。

ゴールまで80km。常識に照らし合わせれば、無謀とも言える試みだった。

フルームの攻撃に対し、デュムランは最初、冷静に行動していたように見えた。

フルームとのタイム差は約40秒となるが、それ以上は開かせることなく、いつもの淡々としたペースを刻む走りで、フルームを追走した。

途中、同じ集団にいた総合5位ティボー・ピノ(グルパマ・FDJ)が機材トラブルで遅れたときも、冷静にこれ待っていた。

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普通に考えれば、80kmという長距離だ。たった一人で走り続けなければならないフルームに対し、デュムランたちは4~5名で先頭を交代しながら追走できる。

体力を温存しながら追いかけられる集団の方が有利なのは自転車ロードレースの常識。40秒ならば「追いつけるだろう」という思いが、このときのデュムランにはまだ、あっただろう。

クリス・フルーム、勝利への執念

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