世界でもっとも過酷なレースとも呼ばれるツール・ド・フランス。今年の開催も間もなくだ。

クリス・フルームのドーピング疑惑でひと騒動があり、7月2日にUCIは世界アンチ・ドーピング機構(WADA)や他の専門家たちからの科学的なレポートを精査した上で、「フルームのはドーピングではない」という声明を発表。

UCI公式声明文(英文):http://www.uci.org/pressreleases/uci-statement-anti-doping-proceedings-involving-christopher-froome/

一時はツール・ド・フランスへの参加も危ぶまれたが、開催直前で難を逃れた。

今回は再び、ロードレース界のおカネの話を紹介してみたい。あのランス・アームストロングがツール・ド・フランスの賞金額について興味深い話をしていた。

ツールの賞金額は20年間変わっていない!?

*本記事は、許可をいただいた上で転載しております。
http://zatsukan.ltd/lance_tour_money/

ランス・アームストロングが自身のポッドキャストの2017年ツール・レビューにて、賞金について話していた。動画内容を一部抜粋して翻訳している。

MC:リスナーから、ツール・ド・フランスの賞金総額が200万ユーロ(約2億6千万円)であることと、他のメジャースポーツの賞金額と比較する記事が送られてきたんだ。これは他のプロスポーツ比べて…

ランス・アームストロング(以下ランス):このリスナーは2つの記事を送ってくれた。1つ目は今年のツールの賞金総額について。もう1つはテニスのウィンブルドンの賞金についてだ。

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この2つは同時期に開催され、世界中の注目を集める国際的な大会だ。どちらにも世界のトップ選手が集まっている。さらにツールの最終週には、イギリスでゴルフの全英オープンが開幕する。

それぞれの賞金金額について調べたんだ。ツール・ド・フランスは3週間、ウィンブルドンは2週間、全英オープンは4日間に渡って行われる。

全英オープンの賞金は 180万ドル(約2億円)。これは優勝者1人に与えられる。ウィンブルドンは男女それぞれへの賞金が250万ドル(約2億8千万円)。ちなみに2011年から優勝賞金は倍額になっている。つまりこの6年で倍になっているんだ。

大会名 開催期間 優勝賞金
全英オープン(ゴルフ) 4日間 約2億円(180万ドル)
ウィンブルドン(テニス) 2週間 約2億8千万円(250万ドル)
ツール・ド・フランス 3週間 約6500万円(50万ユーロ)

ランス:一方で、ツール・ド・フランスの優勝者は50万ユーロ(約6500万円)だ。

俺が優勝した時も同じ金額だった!

それが未だに変わっていないんだ!

…は!?

世界で一番過酷なスポーツの大会なのに!

信じられない!

たしかにゴルフはキャディに10%を支払うし、トレーナーやコーチへの支払いもあるだろうが、賞金がそのまま手元に入る。

だがツール・ド・フランスの優勝賞金でその選手が(直接)受け取れるのはゼロだ。

ゼロなんだ。

全ての賞金はチームに入り、さらに自身の細かい賞金などもチームに行く。

ウィンブルドンが6年で倍になっているのに、ツールは…これは正しくない。

世界一過酷なレースと呼ばれるツール・ド・フランス
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MC:クレイジーだね。クレイジーだ。でもファンは「どうせ個人のスポンサーから沢山貰っているんだろ」と言うのだろう?

ランス:もちろんさ。

MC:しかし、今年(2017年)のツールに出場した198人のうち、何%が生活に十分な額のスポンサー料を貰えているだろうか? 5%?10%?

ランス:この話は少し複雑だな。まず選手個人の前にチームスポンサーというものがいる。選手個人だったらサングラスや、ある程度勝っている選手だったらシューズのスポンサーもあるだろう。でも、自転車やペダルやヘルメットはチームと契約しているため、選手個人ではスポンサーがつくことはないんだ。

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MC:以前の配信で話していたけど、チームには(スポンサーがついていたとしても)利益はほぼないんだよね。

ランス:これはブラックホールだ。

確かに自転車競技はハードだし、賞金が少ない。しかし問題の本質は「ここ何年も変わっていない」ということだ。

なぜ賞金が上がらないんだろうか。

MC:約20年もの間ね。

2017年ツール・ド・フランス主要賞金額

賞金総額:約2.9億円(€2,287,650)

総合優勝(クリス・フルーム)…約6,385万円(€500,000)

第2位(リゴベルト・ウラン)…約2,554万円(€200,000)

第3位(ロマン・バルデ)…約1,277万円(€100,000)

総合優勝者はマイヨ・ジョーヌを着用するステージ毎に約6.4万円(€500)、それ以外のマイヨ・ジョーヌ着用者には1ステージにつき約3.8万円(€300)、またステージ勝利者は約140万円(€11,000)を獲得する。

チーム別 獲得賞金総額

第1位:チーム・スカイ…約9,151万円(€716,590)

第2位:キャノンデール・ドラパック…約3,106万円(€243,250)

第3位:チーム・サンウェブ…約2,270万円(€177,790)

(略)

第20位:モビスター…約309万円(€24,090)

第21位:バーレーン・メリダ…約256万円(€19,990)

第22位:コフィディス…約246万円(€19,230)

*本エントリの賞金金額は2017年ですが、レートは2018/06/22現在のものです。

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