米式バルブ
日本ではほとんどの場合、「米式バルブ」と呼ばれているタイプ。英語だと発案者にちなんだ「Schrader valve」や車のタイヤなどにも使用されていることから「Auto / Car valve」などと呼ばれている。
主にタイヤ(リム)幅が広めなクロスバイク等の完成車に使用されていることが多く、汎用性に長けている。
では米式バルブのメリットから見ていこう。
米式バルブのメリット
空気の入れ方が簡単
米式バルブから自転車のチューブに空気を入れる方法はいたってシンプル。バルブキャップを取り、空気入れの口を差し込んでポンプするだけ。入れ終わった後も、バルブキャップを閉めるだけだ。仏式バルブのように、栓を緩めたり締め直したりする必要がないため、空気を入れたのに抜けてしまう、といった心配も少ない。
仏式バルブに比べ丈夫な構造
空気の入れ方がシンプルなのは、それだけ構造がシンプルだから。小さく細かな部品が仏式バルブよりも少ないため、バルブ内のパーツが曲がってしまい壊れてしまうリスクも比較的低い。
米式バルブのデメリット
そんな取扱が易しい米式バルブだが、デメリットももちろんある。
厳密な空気圧コントロールが難しい
米式バルブは簡単に空気を入れられる一方、厳密に空気圧をコントロールすることが難しい。米式バルブは空気入れを使ってポンプしている間や、空気入れの口をポンプから取り外す際に若干空気が抜けてしまうのだ。これにより、メーター付きの空気入れを使っても最終的な空気圧に誤差がでてしまうことがある。
しかし、これはあくまでもレースに出場する際などに、より厳密に空気圧など全ての要素をコントロールしたい方にとってのデメリットだ。普段のツーリングなどに支障がでるような空気圧の誤差を生むという訳ではない。
リム内で曲がりやすい(場合もある)
米式バルブの中には、バルブ自体がネジ形状のタイプと、突起が全くない筒状のタイプがある。ネジ状のタイプはバルブナットでバルブをリムに固定できるため、タイヤ内でチューブの位置がズレないようになっている。
しかし筒状のタイプはバルブナットで固定できないため、空気を入れる際などにチューブの位置が動いてしまうことがあるのだ。ポンプ中にチューブが動くと、バルブもバルブ用の穴からズレて、斜めに曲がってしまう。
その状態のまま空気を入れ、走行しているとバルブ付け根付近のゴム部分がリムの金属部分と擦れてしまい、パンクしてしまう可能性があるのだ。そして通常バルブ付近に穴が開いてしまうとパッチで塞ぐことは困難なため、新しいチューブが必要になってしまう。
バルブナットがない米式バルブに空気を入れる際には、チューブが曲がらないよう注意が必要だ。
*(仏式バルブにも筒状タイプは存在する)
バルブキャップが必須
仏式バルブは最上部の栓を締めることでバルブの入り口を完全にロックできる一方、米式バルブ自体には栓が付いておらず内部が見えるような構造になっている。従って仏式バルブはバルブキャップが必須ではないが、米式バルブはキャップで入り口を閉めないと、ゴミや泥が中に入ってしまい、空気がうまく入らなくなってしまう。空気を入れた後はバルブキャップを忘れないようにしよう。
今回はスポーツバイクのチューブに使用されている「仏式バルブ」と「米式バルブ」の違いについて、それぞれの特徴やメリット・デメリットと一緒にご紹介してきた。特にそれぞれの注意点に気をつけながら、自身の自転車や乗り方に合ったバルブを確認しチューブ等を選んでみよう。