一人の男の知られざる挑戦
この夏、クリストファー・フルームがツール・ド・フランス3連覇を果たし、さらにブエルタ・ア・エスパーニャを制してダブルツーツを達成して大きな注目を集めた。ちょうどその頃、華々しく活躍するフルームとは対照的に、ひっそりと、しかしとても大きな記録に黙々と挑戦していた男がいたことを皆さんはご存知だろうか。
その男の名はマーク・ビューモント、イギリス人探検家である。ビューモントの挑戦はロードバイクで地球を一周すること。実は、彼は2008年にも同じ挑戦をして成功、195日という記録でギネスに認定された。この挑戦は彼が子供の頃からの夢であった。しかし2年前、ニュージーランド人のアンドリュー・ニコルソンが123日で地球一周をして記録を更新。今回の目的は、ギネス記録を再び自身の手に取り戻すことであった。
7月2日にパリを出発
ビューモントは、ツール・ド・フランスの第2ステージが実施された7月2日にパリを出発した。ポーランド、ロシア、モンゴル、中国、オーストラリア、アメリカを経由しパリに戻るコースである。彼はニコルソンの記録を破るため、毎朝3時30分に起床、1日に16時間もペダルを漕いだという。その結果、およそ2万9千kmをわずか78日14時間14分(うち、飛行機での移動が3日間)で走破した。1日の消費カロリーは9,000キロカロリーを超えた。参考までに、ツール・ド・フランスの総距離は3540km、そのおよそ8倍を走った計算になる。
人生で最も長い2ヶ月半
「この挑戦は自分の人生で最も長い2ヶ月半だった。こんなことはもう2度としないと思う。この記録はいつか破られるかもしれない。しかし、私は80日以内に地球をロードバイクで一周した初めての人間になった」とビューモントは誇らしげに語った。彼の途方も無い挑戦は終わりを告げた。さて、この記録に挑む猛者はこの先現れるのだろうか。
参照元:scmp.com