2018年春のクラシックレースでこれが面白かったベスト3
春はサイクルロードレースにとって、クラシックレース(ワンデーレース)の季節だ。
ツール・ド・フランスのようなステージレースには総合優勝以外にステージ勝利、山岳賞、ポイント賞とさまざまな賞、結果があるのに対して、ワンデーレースは、そのたった一日において何位になったかですべてが決まる。どのチームも目的は「今日の勝利!」なので、初心者にとっても見やすいレースだと思う。
新緑の季節ではあるが、2018年春のクラシックレースの中で、「このレースよかった!」と思うものベスト3をご紹介したい。
3位:感動と悲劇が折り重った/パリ〜ルーベ(4/8)
クラシックの女王の異名をとる、このレース。
いわゆる悪路系と呼ばれる、路面が極端に悪いところを走り続けるレースで、今年はレース全体で約257kmあったのだが、うち5分の1が石畳だ。
有力選手がメイン集団に残る中、フィニッシュ地点まで残り約55kmを過ぎたころに、ボーラ・ハンスグローエのペテル・サガンがメイン集団からの単独の飛び出しを成功させ、レース序盤から逃げ続けていた先頭グループの4人に追いついて逃げるというレース展開になる。
そして、この先頭グループの選手が一人ずつサガンのスピードに耐えられずに脱落して行く中、ただ一人アーゼードゥーゼル・ラモンディエルのシルヴァン・ディリエだけが、先頭に残り続けるのだ。
ライバル同士がまさかの協調
ただサガンの後ろについていったのではない。サガンと協調し、先頭交代をしながらフィニッシュ地点がある競技場を目指した。競技場まで行けば、スプリントが得意なサガンが圧倒的な有利だ。だがそれでもなお、ディリエはサガンと二人で、集団から逃げ続けた。
競技場でのスプリントでは、サガンが冷静にフィニッシュを決めて、1位がサガン、2位がディリエとなる。喜びの声をあげてフィニッシュしたサガンは、すぐに左手を伸ばした。ディリエも右手を差し出した。そして、逃げきった二人は、がっちりと握手を交わしたのだ。
フィニッシュの瞬間よりも、その直後の握手がとても感動的なレースだった。
ただ、悲しいことにこのレース中に心臓発作によってベランダスヴィレムス・クレランのマイケル・ホーラ―ルツの命が失われた。享年23歳。はじめてのパリ〜ルーベ出場だったという。