ロードバイクのディスクブレーキへ対する是非の議論
UCIが限定的にディスクブレーキの使用を認める発表があり、2ヶ月間のレースにおけるテストを行い、その結果次第で正式認可の判断をするとの事。
いよいよ、ディスクブレーキがロードバイクレースの世界においても一般化するのでしょうか。
ロードバイクが油圧式ディスクブレーキ化する事のメリット・デメリットを見て行きましょう。
ディスクブレーキのメリット
- 制動力が高い
- ブレーキタッチ(レバーへの反応力)が一定
- 雨や泥に制動力が影響を受けにくい
- カーボンリムがブレーキ熱で溶ける心配が無い
- リムのブレーキ面が平滑でなくても良い
メリット1. 制動力が高い
リムブレーキは、リムをゴム製のブレーキシューで挟み込みストッピングパワー(減速力)を発生させるのに対し、ディスクブレーキはホイールハブに装着された板をキャリパー(ブレーキパッドの付いた制動装置)で挟みストッピングパワーを生じさせるのですが、油圧ディスクブレーキの場合は油圧の力で、人力の握力を増幅してストッピングパワーへ転換させます。
油圧式ディスクブレーキならば、リムブレーキと比較し、同じ握力で何倍ものストッピングパワーを得られる事が最大の特徴です。
高いストッピングパワーを得られるので、ダウンヒルなど高速域でのブレーキングには高い効果を発揮します。コーナーでの減速時にブレーキング時間が短く済むため、それだけタイム短縮に貢献できると言えます。
ブラケットを握りながらのブレーキングでも、下ハンでフルブレーキングをかけた場合のストッピングパワーを得ることが出来るため、ライディングポジションの自由度が高まります。平地巡航時において咄嗟のブレーキングが必要な場合でも、急制動をかける事が可能です。
ただし、それだけ高いストッピングパワーを得ることが出来るため、集団走行時などのブレーキングには特に気を遣う必要があります。
メリット2. ブレーキタッチが一定
リムブレーキの場合、ブレーキシューの種類によってブレーキのタッチが異なります。
瞬間的にストッピングパワーが立ち上がり、一定ラインで効きが悪くなるものもあり、欲しい時に欲しいだけのストッピングパワーを得る事は、人力へ頼るリムブレーキの場合は構造上難しいのです。
油圧式ディスクブレーキの場合はブレーキのかけ始めから最大域まで一定のストッピングパワーを安定して得ることが出来るため、細かく制動をかけたい場面、特に繊細なコーナリングを求められるシーンでは有利になります。
メリット3. 雨や泥の影響を受けにくい
リムブレーキ最大の弱点は雨や泥などの影響でストッピングパワーが大きく落ちる事です。これはリムとブレーキシューの摩擦へ制動力を頼っており、リムは路面から近い場所を通るため、路面から巻き上げる水や泥に大きな影響を受ける事は、構造上避けられない事です。
ディスクブレーキの場合、ディスクローターがハブ位置に来るため、路面状況の影響を受けづらくなります。シクロクロスやマウンテンバイクにおいてはディスクブレーキが一般化した最大の要因はココにあります。
メリット4. カーボンリムがブレーキ熱で溶ける心配が無い
アルミホイールであれば熱耐性は比較的高いのですが、カーボンホイールの場合、リムブレーキではダウンヒルなどの場面ではカーボンリムが溶けてしまう心配があります。長時間に渡り高い摩擦力を発生させると、リム面が高熱になってしまうからです。
ディスクブレーキの場合はリムとブレーキが接さないため、リム面へ摩擦耐性の低い素材や塗料を使用した素材でデザインを施す事も出来る様になります。
メリット5. リムのブレーキ面が平滑でなくても良い
ディスクブレーキが一般化するとホイールデザインの常識が変わる可能性があります。ストッピングパワーを発生させるために平滑である必要があったリムが、極端な話、段状になっていても良いのです。リム外周までスポークを伸ばす、リムへ摩擦耐性の低い塗装を施す事が出来るなど、デザイン上の自由度が高まります。