富士の絶景を独り占め

都内から電車を乗り継ぎ1時間40分。

伊豆の玄関口である静岡県沼津市には、ロードバイク初心者にもおすすめ、霊峰富士を望む絶好のサイクリングルートがある。

沼津は日本一深い深海・駿河湾に面した伊豆エリアの付け根に位置し、豊かな自然と爽やかな潮風が象徴的なまちだ。市内にはバラエティに富んだコースがあり、プロ選手の練習拠点が近いこのエリアのなかで、比較的起伏の少ない海岸線を走る初心者向けのコースをご紹介する。

コースの出発点は、廃校となった小学校をリノベーションした「沼津サイクルステーション静浦東」。無料駐車場・トイレがあり、レンタサイクルも可能、サイクリスト向けの観光案内所も兼ねている。

出発前に立ち寄って、メカトラブルなどの発生で困った際には相談に乗ってくれるサイクルレスキューの情報をもらっておこう。

大瀬崎方面へ向かって、信号が少ないほぼ平坦な道(県道17号線)を走ること約5km。

地元で愛される市の観光スポット「伊豆三津シーパラダイス」を越えて、北条氏の水軍根拠地であった「長浜城跡」を通り過ぎると、「長井崎トンネル」へ到着する。

体力に自信のない人や、走行中にお尻が痛くなってしまった場合にはこのトンネルを抜けた先を右側に折り返す、往復約10kmのショートコースを選ぶことをお勧めする。トンネル脇の道路から望む淡島や富士の景色には一見の価値アリ。短い距離ながらも十分に楽しむことができる。

長井崎トンネルを越えた先の山の傾斜には沼津の名産であるみかん畑が広がっており、4月末から5月に掛けては白く可憐に咲くミカンの花を、10月以降にはたわわに実るミカンの木々を見ることができる。路面では様々な柑橘類が販売されており、サコッシュを持参してお土産の調達もできる。

サイクリストの多い伊豆エリアには、休憩や自転車のメンテナンスに適した場所を提供する「バイシクルピット」の認定を受けた店舗が多数存在しており、サイクリスト御用達の「チェレステカフェ」や、地元の海鮮を味わえる食堂も登録されている。

富士山を右手前方に望みながら、海岸線を10kmほど進むと、戸田方面に向かう「真城(さなぎ)峠」との交差点に差し掛かる。

海岸線特有の地形であるくねくねとした狭い道では、景色に見とれすぎないように注意が必要だ。対向車線への急な車の出現にも慌てぬよう、カーブを曲がる際にも左側通行を徹底すること。「真城(さなぎ)峠」との交差点を過ぎて1km先の「足保公園」には、大瀬崎前の最後のトイレ休憩スポットがある。コース上には公共のトイレが多く設置されており、女性ライダーには特に嬉しい。

伊豆の醍醐味!圧倒のエメラルドブルー

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