ディスクブレーキを巡るプロロード界の流れ
ここで、プロロードレース界でのディスクブレーキを巡る流れについてもご紹介する。
プロのロードレースにおいては、2015年8月に、UCI(国際自転車競技連盟)が、ロードレースにおけるディスクブレーキの試用再開を決定した。
しかし、ディスクブレーキによると思われる事故が相次ぎ、連盟、選手、メディアを巻き込んだ論争が起こった。その結果、プロのロードレースにおいてディスクブレーキの全面試用禁止までに及んでしまった。
その後、ディスクローターの尖った部分を丸くし安全性を高めたり、ローターサイズが定まっていない為、様々なローターを試験的に試用するなど、2016年から2018年までの3年間のデータをもとに、2019年に向けて安全性と技術面の両方に関する基準を設け、プロのロードレースに置いて使用するか決めることになっている。
つまり、今はプロロードレース界でのディスクブレーキ試験期間ということだ。
また、UCI以外のところで言うと、イギリス自転車競技連盟は、2018年1月1日から「全てのロードレースとトラック競技でディスクブレーキの使用を全面解禁すること」を発表した。これにより、イギリス国内全ての非UCIレースで、ディスクロードが使用可能となっている。
ディスクブレーキによる事故もあった
当時クイックステップフロアーズだったマルセル・キッテルが、2017アブダビ・ツアーの第1ステージでオウェイン・デュル(チームスカイ)との衝突の際に、キッテルのディスクブレーキローターがオウェインのビンディングシューズを切ってしまった。キッテルはアブダビツアー中のディスクブレーキの使用をやめた。
2017のアブダビツアーで、キッテルは参加選手の中、ただ一人だけディスクブレーキを搭載して参戦した。事故の際は高速で走ってる最中であったことから、ディスクブレーキによってオウェインのシューズが切れたとは断定し難いこともあった。切られたオウェインは「ディスクブレーキで切れた」と主張。
キッテルは一方的かつ感情的に「ディスクブレーキに責任がある」とは言いたくはないとしていた。ただ、ローターのエッジを丸くして、ディスクブレーキの保護カバーをつけるなどは安全上必要だという姿勢だった。
さらにキッテルは、ディスクブレーキで2017ツールドフランスに勝利している。
キッテルは、「ライダーにとっての安全性は大切だから、業界とUCI、あとライダー達と一緒にディスクの否定的な考えを取り除いていけるようにしたい。特に衝突した時の安全性はバイクやホイールの変更課題を通じて解決できるといい」と述べている。