仏式バルブ
まずは仏式バルブから。日本では「仏式バルブ」や「フレンチバルブ」の名で呼ばれているタイプ。ちなみに英語だと「Frech valve(FV)」「Presta valve」「Racing bicycle valve」やこのバルブの発案者にちなんで「Sclaverand valve」などと呼ばれている。
「Racing bicycle valve」と呼ばれている通りレースなどスピードを競うための自転車に使用されることが多い。その理由として以下の仏式バルブのメリットが関係している。
仏式バルブのメリット
バルブの形状が細く軽い
仏式バルブは幅が約6mmで、約8mmの英式や米式バルブよりも細くつくられている。従ってロードレース用のような幅の細いタイヤやリムを使用する自転車には、仏式のみが対応可能となる。またその細さから、バルブ自体の重さも他の2種類に比べ4〜5gほど軽くなっている。
より高気圧で細かな空気充填・調整が可能
レース用に仏式バルブが使用されるもう1つの理由が、空気をより高気圧で充填でき、充填後も細かな気圧の調整が可能であるためだ。舗装路をより速く走るためには、高気圧で空気を充填しタイヤ(チューブ)を膨らませることで、地面との摩擦をより減らすことが必要となる。より高気圧で空気をいれることができるのは、仏式バルブの特権だ。
しかし、タイヤと地面の摩擦はいつでも少ない方が良いというわけではない。特に舗装路でも雨の日など、逆に摩擦が少な過ぎるとカーブなどで滑ってしまうリスクが高まる。そうした際にチューブから空気を適量抜くことで、地面との摩擦が生まれ、地面をよりグリップすることができ、早い走行性能を保ちながらも滑るリスクを減らすことができる。
このチューブから適量空気を抜く際に、仏式バルブの特徴的な形状が役立ってくれる。仏式バルブは最上部の栓を緩めた後、その栓を下に指1本で軽く押すことで簡単に空気を抜くことができるのだ。これによりチューブの気圧を微調節することができ、より最適な走りを可能にしてくれる。
仏式バルブは舗装路用と説明したが、このようなメリットから細かな空気圧の調整を同様に必要とするマウンテンバイクやシクロクロスの自転車にも使用されることがある。
仏式バルブのデメリット
しかしそんな仏式バルブにもデメリットがある。
米式バルブよりも繊細な作り
上記のメリットでもご紹介した通り、仏式バルブは細い幅の中に空気圧を微調節するための「装置」のようなものが内蔵されているため、繊細な作りをしている。従って誤った使い方をしたり、誤った方向から力を加えてしまうと、栓の部分や「装置」部分が曲がってしまい空気が漏れてしまうのだ。米式バルブに比べ、このような予期していない外部からの衝撃や力には、弱い作りになっているのが仏式バルブのデメリットだ。
空気の入れ方が独特
もう1つ、仏式バルブのデメリットを挙げるとすると、空気の入れ方が独特で初心者の方には分かりづらいということだ。
ママチャリに空気を入れる時のように、ポンプの口をそのまま仏式バルブにはめ込んでしまうと、空気は入らず逆にバルブが曲がってしまう可能性がある。
正常に空気を入れるためには、まず栓を緩め、軽く栓を下側に押し空気を少しだけ抜くことがポイント。そしてポンプの口をはめ込み、タイヤに記載された適正気圧を目安に空気を入れていく。最後にポンプを取り外した後は、必ず緩めた栓をしっかり締め直すのを忘れないようにしよう。忘れてしまうとせっかく入れた空気が抜けていってしまうためだ。
では次に米式バルブを見ていこう。