2020年10月6日、アメリカのロードバイクブランド「キャノンデール(Cannondale)」が、新型コロナウイルスの影響もありオンラインを通じて2021年モデルの展示会を開催。キャノンデールの2021年モデルは既にいくつか発表があったものの、メタリック基調のカラーや、EFプロサイクリングチームのレプリカモデルなどにも注目が置かれている。
今回のオンライン展示会での目玉はエントリー向けロードバイクの「キャード オプティモ(CAAD OPTIMO)」だ。
以下、「キャード オプティモ」を中心に、キャノンデールオンライン展示会からの2021年モデルをご紹介していく。
大きく見直されたCAAD OPTIMO
元来からアルミバイクを得意とするキャノンデール。
アルミバイクに多いエントリーライダー向けロードバイクが、アップライト(上向き)なポジションによる操作性の悪さやコストの低いアルミ素材による、硬い乗り心地に対して「本当に初心者向けバイクなのか?」という疑念を元にフレームを再設計した。
エントリーバイクの2つの問題点
エントリーバイクに多いもの、それはアップライトなポジションを可能にするフレーム設計(ジオメトリ)だ。これらはキャスター角(フロントフォークの傾き)を大きくし、高い安定性を目的としている。しかしこれらは、バイクの操作性にも影響を及ぼす。
1つ目の問題点はここにある。
キャスター角が広がると、それだけハンドルとホイールに差異が出るため、下り坂などで狙ったラインよりも膨らみながらコーナーを曲がることになる。場合によっては落車にも繋がりかねない。落車は初心者だけでなく、全てのユーザーが避けたい事象だ。
2つ目の問題点は「乗り心地」。他社メーカーのほとんどは、エントリーバイクには低コストな分、重いアルミ素材を選んでいる。厚みと重量があると乗り心地はもちろん良くはならない。しなやかなカーボン素材のバイクと比較すれば明らかだろう。
これら『2つの問題点』を解決するために、新型オプティモはジオメトリとフロントフォークが大きく刷新された。
ジオメトリは全く新しいものに
まずはレース向けのSupersix EVOと比較したジオメトリ表を見よう。
青ハイライトは異なる2モデルでほぼ共通の数字の部分だ。レーススペックバイクに近いジオメトリは、今までのエントリーバイクのアップライトなジオメトリではなく、長くロードバイクを楽しめる一台を求めた数値だ。
「レーススペックバイクに近いジオメトリだと初心者に優しくない」という考えも、もちろんある。そこで、キャノンデールは独自に「ロードバイクに慣れて怖くなくなる期間はどのぐらい?」とアンケートを実施。
グラフを見てわかる通り、回答者の80%が1週間のライドで「脱初心者」となると考えているのだ。もし初心者がアップライトなポジションのバイクを乗り続けると仮定した場合、最初の1週間以降は『2つの問題点』を抱えたままロードバイクに乗ることになる。
本当の意味でロードバイクを楽しむのであれば、アップライトなジオメトリは適さないのではないかと考えることができる。