2.過酷すぎるコースプロフィール
元々「ジロ」は例年、「ツール」以上に厳しいコースを設定している。
「世界最大の自転車レース」がツールであれば、ジロは「世界最高の自転車レース」だ、と形容する人もいるほどだ。
それが今年は、例年以上に厳しいレースになりそうな予感がする。
激坂を登りつづける地獄のステージ
たとえば第14ステージを見てみよう。モンテ・ゾンコランと呼ばれる山を最後に登るステージだが、この登りがありえないほどに厳しい。
上記画像を見てもらえばわかるように、中腹の平均の勾配が15%、最大の勾配が20%超えである。
日本のふじあざみライン、あるいはツール・ド・フランスの名峰ラルプ・デュエズが平均勾配10%程度なので、その1.5倍の平均勾配が中腹にあることとなる。
ふじあざみラインも一番厳しいところが20%超えだが、ゾンコランはこの20%超えが延々と続く区間が存在する。
ちなみに、東京都目黒区の目黒雅叙園の手前、急勾配で有名な「行人坂(ぎょうにんざか)」の勾配が約20%だ。
プロの選手もまっすぐ登れないことすらあるのが20%という勾配の厳しさ。この、ジロ・デ・イタリア最恐の登りで、精鋭クライマーたちの激突が繰り広げられる。
そして、終盤の第19ステージが、今大会最難関のステージとなる。
過酷・過酷・過酷が重なる第19ステージ
今大会最高標高(チーマ・コッピ)となるのが、真ん中の「フィネストーレ峠」。
18kmの長い登りで、延々と9%の勾配が続く。
さらに登りの後半(上記画像の白い部分)は石の浮いた未舗装路となっており、選手たちは右に左にハンドルを取られながら無心に登っていく。
そんな最悪な要素に加えて、この季節に標高2000m越えのため、沿道には当然雪が残っており、気温も非常に低い。
「ジロ」がいかにして「ツール」以上に厳しいと言われるのか、このステージを見ることで容易に理解することができるだろう。
2015年に走ったフィネストーレ峠の様子。雪の残る山の上の方は深い霧にも包まれ、未舗装路の走り辛さと勾配の厳しさ、そして気温の低さとが三重苦となって選手たちを蝕んでいく。