長期スポンサー契約とクラウドファンディング
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EFはスリップストリームの財務書類を求め一通り確認した後、長期的なスポンサーをするならスリップ・ストリームという会社自体を買い取りたいと言ってきたんだ。
だから…ここから違う段階の交渉が始まったんだ。
10年以上もオーナーでいてくれたダグにとって買収は主導権を奪われることだから、決して気持ちのよいオファーではなかっただろうが…彼もチームが安定した長期的な運営を望んているからね。
結論に達するまでに様々な感情や困難があったけど、結果的に3年間のスポンサードを保障してくれた。とても良い形に収まったと思う。
どれだけ人が行動を起こしてくれるのか、が重要
話は前後するけど、クラウドファンディングは財政面ではなくスポンサー獲得にどのような影響を及ぼした?
JV:とてもよい影響だ。僕らはクラウドファンディングで不足分を賄うなんて無理だと思っていた。だが、僕たちのファンがいかにチームを愛し、協力し、実際に25$や50$といったお金を払うという行動(チームへのコミットメント)をアピールしたかったんだ。
今の時代「どれだけ人の注目を集められるか」ではなく、「どれだけ人が行動を起こしてくれるのか」が重要なんた。だから「お金を送る」以上のチームへの参加表明はないと思った。
結果的にこれがEFに大きなインパクトを与えたのは事実だ。
アーガイルチェックの意味するもの
君のチームが初めてツールに出場した2008年以降、チーム名が何度も変わっている。スポンサーが変わる中どうやってチームの一貫性を保つことができたんだい?
JV:「チームのブランドをどう保つか」についてはたくさんの議論があった。スポンサーが変わり、それに伴ってチームの色が変わり、ユニホームのデザインが変わる。そんな中でどうすれば「あのチームは元々あのチームだった。」と伝えることができるのだろうか?
例えばスカイがチームスポンサーから撤退して、代わりにどこかの電気会社がスポンサーになったら「チームスカイ」としてのアイデンティティは失われるだろうし、それが元々スカイだなんて誰も思わない。チームスカイに「スカイということ以外のブランド」なんて存在しないんだ。
そんな中で、ダグと僕が出した答えが「アーガイル(チェック柄)」だったんだ。
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この模様ならどんな色にも、どんなデザインにも合わせられる。この小さな模様だけが10年以上スリップストリームたらしめるものとして残ってきたんだ。このアーガイルがチームに独立した個性をもたらした。そんなチーム今までいなかっただろう。
これはチームにどんな「選手」や「スタッフ」がいるが関係ない独立した個性だ。これまでは僕自身が「スリップストリームの文化」を理解してもらう為に奔走しなければならなかった。
しかし今では新しく入ってくる選手や監督、スタッフは、僕から独立したチーム独自の文化を理解して入ってきてくれるようになったんだ。