不公平なチェスを戦い抜くために

報道によると君のチームの予算はワールド・ツアーチームで下から2番目らしいね。それでどう戦っていくつもりだい?

JV:これはウチのチームだけではない問題だ。もしファンが自転車ロードレースに「公平でオープンかつ、予測ができない高いレベルの争い」を求めるのならば、全チームに予算の上限が必要だろう。

よく報道されている選手の年俸を制限する「サラリーキャップ制度」の導入とは違い、必要なのは「運営予算」の上限であり、その用途(科学トレーニング・風洞実験・首脳陣の報酬・選手の報酬など)をチームの裁量で決められるようにすれば、本当の意味での公平な戦いができるはずだ。

チェスでは全てプレーヤーが1つのクイーン、1つのキング、2つのビショップと持ち駒は決まっている。しかし現状は、あるチームはクイーンを4つ持っているのに、あるチームはポーンばかりという不公平な戦いになっている。
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未知の要因、運を利用する戦い

なるほど。じゃあ、その「不公平なチェス」をEFエジュケーションはどう戦うんだい?

JV:今シーズンは割と上手く戦っていただろう?

予算が潤沢なチームでは「Aが倒れたらBがそのポジションを担い、Bが倒れたらC…」と代替して戦うことができる。つまり予測ができない要因や運を排除してく戦い方だ。

しかし僕らのように予算が乏しいチームは、その未知の要因や運を逆に利用して勝負するんだ。もちろんその選手の出来不出来がチームの成績に直結してしまうが、僕らはできるだけそれを防ぎ、賢いスケジューリングなどによって回避を試みている。

これは…とても難しいゲームなんだ。

そして僕がGMとして戦っているゲームと、スカイのブライルスフォードGMが戦っているゲームは全く違うものだ。同じチェスではない。

今活躍している選手は見ていない

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