「Loutus / Hope HB.T」の開発に携わったのは、主に3社。記事冒頭で紹介した、「Lotus」社、「Hope Technology」社、「Renishaw」社だ。ではこの3社はそれぞれどんな工程で貢献しているのか。分解して詳しく見てみよう。

Lotus社が与えた影響

Lotus(ロータス)社は世界的なスポーツカーブランドであり、宇宙航空や医学研究に加え家具やボート製造など多くの工業デザインを手掛けている。

今回のトラックバイク「Loutus / Hope HB.T」におけるLotus社の主な貢献は、より速いバイクをつくるための「設計段階」にある。普段はより速い「車」をつくっているLotus社だが90年代にはオリンピックやツール・ド・フランスに出場する選手の自転車を設計した経験もある。

風洞実験などを通したエアロダイナミクス(空気力学)の分野で最先端の知識と技術を誇る会社だ。

Chris Boadman Lotus

そして「Loutus / Hope HB.T」では、自転車パーツ会社のHope社との共同開発によって、主に3つの箇所が大きく改良された。

その3つの箇所とは、「フォーク」と呼ばれる前輪の軸からハンドルへと伸びる2本のチューブの設計と、ハンドル周辺の「コックピット」のデザイン、「エンド」と呼ばれる車輪とフレームを固定する爪部分の設計だ。

共同開発チームは、英国スポーツ科学研究所(EIS)のコンセプト案を採用し、何度も風洞実験施設でのテストを繰り返した。

度重なる実験と解析の結果生まれたのが、今回の革新的な形状を誇るトラックバイク。

LOTUS HB.T

今までにないこの特殊な形状が、選手達が走行時に受ける風を前から後ろへとスムーズに受け流し、空力性能の向上を実現している。

人間工学に基づき設計された前輪2本のフォークチューブは、選手の力をバイクに伝える「パワー伝達効率」を向上させ、さらに空力性能の向上にも貢献している。

Hope社は何をした?

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